がん保険の加入を検討する際に自問自答したい5つのこと

がん保険の加入を検討するためのフロー

生命保険には、医療保険の他に「がん保険」というがんに特化した固有の保険商品が存在するため、がん保険は特別だという考えをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、がん保険という商品が存在するのは世界的に見ても、日本や韓国、台湾など東アジアの限られた地域だけ。中でも日本におけるがん保険の加入率の高さは断トツで世界一です。

我々が抱く、がんに対する漠然した恐怖心はテレビCM等の広告宣伝によるところが大きく、不安に駆られるのも無理はありません。

しかし、がんに対する正しい知識や公的医療保険制度の保障内容などを理解することなく、ただ煽られた不安から逃れるためにがん保険を契約する人が後を絶ちません。

そこで、がん保険の契約を検討するに当たって、確認しておきたい5項目を列挙しました。実際に次の内容を自問自答してみてください。

1.「がん保険に入っておけば安心」という安直な考えはないか

生命保険は、人生でマイホームの次に高価な買い物だと言われています。

毎月かかる保険料は数千円。払えないことはないので、「入っておけば安心」と簡単に契約を決めてしまう人がいます。

しかし、払込期間満了まで実際に総額いくら払うか計算してみましょう。

「がん」という特定の疾病にのみ特化した保険にも関わらず、トータルで数百万円支払うことになるのです。

そして、一度契約してしまったら、がん保険に加入しているという安心感を簡単には手放すことができなくなります。

また、これまで払ってきた保険料も返ってきませんので、「これまで払ってきた保険料が無駄になってしまう」と感じ、解約し難くなります。

加入するのは簡単でも、簡単には止められない心理が働くのです。

2.すでに加入している保険と保障内容が重複していないか

すでに医療保険に加入している状態で、がん保険を追加で検討されている方もいらっしゃると思います。

がん保険は「がん」という特定の疾病に対する保障でしかありません。

健康保険等の公的医療保険制度の他に、すでに個人で加入している医療保険があれば、たとえがんであったとしてもかなりの部分をカバーすることができます。

入院給付金や手術給付金などは医療保険にもがん保険にもある重複する内容です。わざわざ医療保険とがん保険、どちらにも加入する必要は本当にあるでしょうか。

また、新しくがん保険に入らなくても、現在加入している医療保険に、特約でがんに対する保障を厚くすることができる場合もあります。

特約ならば保障内容が重複することもなく、新規で加入するよりも割安で保障を充実させることができます。

例えば1,000万円までの高度先端医療特約などは、医療保険にも数百円で付保できる場合があります。

3.がん保険の長所・短所をきちんと理解しているか

「がん保険に入っていればがんになっても安心」、確かに金銭的な負担はほとんどカバーされますが、きちんと長所・短所を理解できているかのついては疑問が残ります。

がん保険の大きなメリットは、がんと診断されたら診断給付金として、数百万円というまとまった保険金が受け取れること。

そして、入院給付金が入院日数無制限で給付されることも医療保険と異なる点です。

また、1,000万円までの高度先進医療に対する保障が付保されているタイプや、再発するたびに何度でも診断給付金が受けられるタイプもあります。

一方で、保障内容ががんに限定されていることから、他の病気やケガでは保障を受けることができません。

がん保険は、がんに罹患しない限り適用されず、結構な額の保険料が掛け捨てになってしまう可能性も高いというデメリットも理解しておきましょう。

4.医療保険より前にがん保険を契約しようとしていないか

これまで、すでに医療保険に加入していることを前提で話してきましたが、がん保険はがん以外の病気やケガまでカバーできるよう特約をつけることで、医療保険と同じ保障を受けることができます。

がんに対する保障はしっかり確保しつつ、その他の病気やケガに対しても特約でカバーすることができるのですが、この方法はおすすめできません。

なぜなら、もしもがんに罹患してがん保険から保障を受けたら、その時点で保険関係は消滅、医療保障特約もその時点で同時に消滅してしまうのです。

当然ですが、人はがん以外の病気やケガに見舞われるリスクも多分にあります。どちらかと言えばがん以外の疾病にかかることの方が可能性は高いのです。

がん保険は、がんという特定の疾病をカバーするためだけの限定的な保険です。

もしもまだ医療保険に加入していないのなら、がん保険を検討する前に医療保険を検討してみるべきです。

5.それでもがん保険に入る理由を人に説明できるか

生命保険の中でも保障の範囲が限定的ながん保険は、家計負担を考えると優先順位は低くなります。

そもそも生命保険とは、もしもの時に公的保障や自助努力(貯金等)でカバーできない場合に備えて加入するもの。がん治療に係る一切の費用を、がん保険だけでカバーしようと考えてはいけません。

たとえがん保険に入ったとしても、がんが治るわけではありません。がん保険はがん治療にかかる医療費から金銭的に負担を軽減してくれるだけです。

皆さんは「がんの治療は高額だ」と思い込んではいないでしょうか。

がん治療費.com」というサイトでは、実際にがんに罹患した人から実際にかかった費用を集計、部位や種類、ステージなどにより、実際にかかる費用水準を公開しています。

見えない将来に漠然とした不安を抱くのではなく、がんに罹患した際に必要な費用と公的医療保険制度からの保障、そして貯金やすでに加入している医療保険などをしっかり分析してみましょう。

不安に煽られて、必要のない保険に入ることほどもったいないことはありません。

がん保険に払うはずだったお金で、今日を生きるためにもっと有益に使うことができるかもしれないのです。

皆さんの大切なお金を決して無駄遣いしてはいけません。

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