純保険料から「死差益」という保険会社の収入を生むカラクリ

保険会社にとって大きな収入源である「死差益」とは

保険料の内訳には「純保険料」と「付加保険料」が存在することは以前お話をしました。

付加保険料とは、人件費や事務所の光熱費、広告宣伝費などの保険を維持・管理するために必要な費用に相当する部分です。

一方、純保険料は「アクチュアリー」と呼ばれる保険数理人が計算した標準生命表などを、生命保険業界は統一的に利用しており、そのため純保険料部分については各社大きな差はありません。

生命保険加入で負担する保険維持の費用「付加保険料」はブラックボックス

では、純保険料については、不幸にして保険事故に遭ってしまった場合の保険金に全額充てられるかというとそうではありません。ここに保険のカラクリが潜んでいます。

実は生命保険業界が共通して利用する、半ば公式とされる標準生命表などは、保険金請求が急増しても保険会社が破たんすることのないよう、実際の死亡率に比べて多めに設定されているのです。

実際に多い時は実際の死亡率よりも20%以上もの安全を持たせて算出をされていました。そのため、当然ながら実際に純保険料と実際に支払われる保険金との間にはかなりの差が生まれることになります。

純保険料と実際に支払われた保険金との差は、我々が余分に支払った保険料ということになります。ではこの差額はどうなるのでしょうか。

中には返戻金という形で加入者に返金されるケースもありますが、ほとんどの場合、支払われた保険金と保険料の額は「死差益」として保険会社の収入として取り扱われているのです。

実際、保険料と保険金の差額は、保険会社にとって大きな収入源の1つとなっています。

 民間保険は慈善事業でもボランティアでもない

しかし、何も余裕を持って設定されている純保険料が悪いというつもりは毛頭ありません。

無理な保険料の設定をしたばかりに保険会社が破たんしてしまっては困るのは保険加入者ですし、社会保険でカバーしきれない部分を民間保険で賄おうとする以上は、保険会社にもきちんと収益がもたらされなければ保険自体も成り立たちません。

それでも、毎月皆さんが払う保険料から如何に多くのお金が差し引かれ、保険会社に流れているかについては、よくお分かりいただけたのではないでしょうか。

民間の保険に加入しようという人は、万一のリスクに備えるためであって、誰も保険金で儲けを出そうとする人はいないと思いますが、それでも実態を知るほどに保険の加入について考えさせられると思います。

民間保険は社会保険のように慈善事業でもボランティアでもありません。

幸いにも無事故ならば納めた保険料は当然戻ってはきませんし、もしも事故に遭い保険金を受けとる場合でも、保険会社からはすでにかなりの金額が差し引かれています。

そのことをきちんと理解した上で、私たちは民間保険の必要性と共に、保険料に関しても正しい知識を持ち、不安があれば全てを民間保険に頼ろうとはせず、必要な保障を見極めて的確に保険を掛けることが何よりも大切なことなのです。

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