若い時に加入を検討すべきは医療保険ではなく死亡保険

死亡保険を検討すべき2つの大きな理由がある

若い人が最初に加入する保険の種類では、断トツで「医療保険」が人気です。

社会人になると、病気やけがをした時の備えとしてまずは医療保険を勧められ、多くの新社会人が「社会人としての義務」と思って契約し、なけなしのお給料から保険料を納めます。

一方、あまり人気がないのは死亡保険。

自分が病気やけがをした時のことは簡単に想像できますが、自分が死ぬ時のことはなかなか想像し難く、また独身のうちに亡くなった場合、葬式代程度しかお金も掛からないと、あまり重要視されていません。

新社会人にとっては、少ない手取り額の中から保険料を支払うわけですから、発生する確率や可能性を考えるとどうしても医療保険を優先し、死亡保険までは手が回らないというのが当然の考えなのかもしれません。

しかし、死亡保険については若いうちから加入を検討した方がいいと思う保険の1つです。今回はその理由について解説したいと思います。

保険は加入したい時には加入できない不思議なもの

実際に死亡保険への加入を検討するとしたらどんな時でしょうか。

人生のステージで考えてみると、結婚や子どもが生まれたタイミングが最も多く、つまり守るべき自分の家族が増えた時に保険の加入を考えるようです。

しかし、もしもあなたが社会人になってから大きな病気を経験していたらどうでしょう。家族のために入ろうと思っていた保険の審査に通らず、契約を拒絶されてしまうことになります。

保険の外交員にしつこく勧誘を受けていた頃はただただ煩わしいと思い、セールスを断るのに苦労していた保険なのに、いざ自分が入りたいと思った時には保険会社から拒絶されてしまうことが実際に多くあるのです。

余談ですが、これはマイホームの購入時にも同じようなことがあります。それは、団体信用生命保険(通称「団信」)の加入の際に見られます。

マイホームは人生で最も高価な買い物ですから住宅ローンを組むのが普通です。その住宅ローンを完済する前に不幸にして亡くなってしまった場合、残された家族から家が取り上げられてしまわないよう、団体信用生命保険という生命保険に加入をします。

団信に入っていれば、たとえあなたが早期に無くなっても住宅ローンは保険で返済され、家族に家を残してあげることができるのです。

しかし、あなたが過去に大病を患ったことがあったりすると、家を買う際になって団信に入れることができず、その影響で住宅ローンに関して審査が通らない、仮に通ったとしても家族は団信の保護がなく、常にリスクを負い続けることになってしまいます。

このように団信は住宅ローンに関連する保険ですが、遺族にお金を残すという意味では死亡保険も同じです。

それなのに、いざ加入の必要に迫られる段階になった時には、もう加入できない状況になっている可能性もあるのです。

このことを念頭に、死亡のリスクが少なく、保険料も安いうちに死亡保険に加入しておくことをお勧めしています。

一度入ったら、その後いくら病気をしても保険会社から契約を打ち切られることはありませんし、人生のステージが進む(家族が増える等)に連れて、必要な保障額に増減させればよいのです。

保険とは自分だけでは手に負えない経済的損失に備えるもの

保険とは、起こる可能性は低いけれど、起こってしまったら一人ではどうしようもないほど大きな経済的損失が見込まれる場合に備えてかける、これが本来の保険のあるべき姿であると考えています。

その意味で医療保険の加入を検討するにあたり、もし病気やけがになった時、自分一人では手に負えないほど大きな経済的損失を被るかというと疑問が残ります。

なぜなら、日本では公助である社会保険の普及により健康保険の保障制度が充実しているからです。

治療費においては高額療養費制度という仕組みがあり、月額の自己負担限度額は8万円程度に限定されています。

また、それでも治療費が嵩んだ場合には、確定申告で医療費控除を申請することで税金還付という形で医療費の一部を取り戻すこともできます。

差額ベッド代も、本人が個室を希望しない限りは掛かることはありませんし、手術を伴う入院についても年々入院期間が短縮されており、差額ベッド代を支払ったところで負担額は昔ほど大きくありません。

このように、社会保険制度の助けを借りれば若い人であっても負担できないということは決してありませんし、年齢を重ねて次第に所得も増えてくれれば、その負担もさほど苦ではなくなってくるでしょう。

しかし、もしもあなたが亡くなってしまった場合はどうでしょうか。

葬式代など一時的な出費だけでなく、残された家族の生活費や子どもの教育費など、家族が家計の支柱を失った影響は大きく、自分が無くなることはなかなか想像し難くても、自分がいなくなり残された家族が苦労することについては安易に想像できるのではないでしょうか。

公助の制度として遺族年金などの社会保険制度はありますが、受給するための要件が複雑でハードルも高く、人によっては受給でない場合もあり、仮に受給できたとしても金額的に十分な保障は受けられるとは言えません。

公助(社会保険)と自助(貯金)だけでも何とかできてしまう医療費を心配するより、むしろ自分が亡くなった時、残された家族に与える経済的損失の方がどれだけ大きいかは明白でしょう。

考えてみよう、自分の将来のこと

ここまで話をしてきましたが、何も医療保険は不要だというつもりは毛頭ありません。

収入や貯金が少ない中で、公助と自助だけでは足りないこともありますから、自らしっかりと蓄えをして病気やけがに備えることができるまでは時間を買うつもりで医療保険を活用するのもいいでしょう。

しかし、死亡することで発生する経済的損失をカバーするためには、最低でも子どもたちが巣立ち、パートナーの年金支給が始まるまでの生活を支えなければいけませんから、重要性はずっと大きく、家族に負担を残したままでは無責任で死ぬに死に切れません。

そして、死亡保険の重要性を理解している人ほど、いざ契約する段階になって契約を拒絶された時の絶望感は計り知れないものがあります。

保険は「転ばぬ先の杖」ですが、未来を想像しない限り、存在するリスクも、そのリスクに対する保険(杖)の必要性もわかりません。人はいずれ病気やけがをするでしょうし、人はいつか死にます。

その時期は誰にもわかりませんが、そのリスクが自分だけでも対応できるものと、自分ではどうしようもないものをしっかり判断してみてください。

そして、自助努力だけではどうしようもないリスクにこそ、適切に保険を掛けるべきなのです。

まだ結婚もしていない若い人に死亡保険を勧めても、なかなか理解してもらうことはできませんが、死亡保険に加入するということは、単純に死亡リスクをカバーする以上に、自分の将来を思い描き、具現化した上での先読みした行動でもあるのです。

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