将来への備えは個人年金保険とiDeCo(確定拠出年金)の両輪で考える

年々薄れゆく個人年金保険のメリット

将来に備えて個人年金保険への加入を検討される方も多いでしょう。高度経済成長期には高い利回りが契約時点ですでに約束され、大変魅力的だった個人年金保険ですが、今では年々その魅力的を失いつつあります。

一方で、最近は年金制度の改正などがあり、個人型確定拠出年金(通称「iDeCo」)が公務員やサラリーマン、主婦に門戸を広げるなど、老後の資金を保険から投資で備えようという流れが進みつつあります

そこで今回は、個人年金保険とiDeCoに関するメリットのそれぞれ比較し、将来に向けた総合的な備えをしていただけるよう解説してきたいと思います。

所得控除による節税効果

年末調整や確定申告において、生命保険料控除の適用を受ける人は多いのではないでしょうか。

生命保険料控除は「一般の生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」の3つに大別され、1年間に収めた保険料によって、それぞれ上限4万円までをその年の収入(所得)から控除できる仕組みです。

仮に年金保険を10万円支払っていた場合、所得から控除できる金額は4万円。この4万円を所得から差し引いて税金が課税されます(税率は所得の金額に応じて変わります)。仮に税率が20%であれば、4万円に相当する税額、8千円分が減税されることになります。

一方、iDeCoの場合は、iDeCoの掛け金が全額、その年の所得から控除することができるのです

このように、iDeCoに加入することで得られる節税効果は、個人年金保険に比べ大きくなるのです。

安心の確定給付型と、運用で増やす確定拠出型

個人年金保険は、あらかじめ加入時点で受け取る年金額が保証されており(運用成績によっては増額されることもあります)、将来の老齢年金だけでは不安だという方には、確実な年金の上積みが約束されるため大きな安心感がありました。

しかし、高度経済成長期から成熟期に入った日本において、昨今の景気低迷や続く低金利(マイナス金利)は保険会社の運用にも影を落とし、保険料に対する年金の受取額は年々減少傾向にあります(もしくは保険料値上げの傾向)。

また、法改正によって対象が拡大した個人型確定拠出年金(iDeCo)の登場により、更に個人年金保険の存在価値が薄れてしまいました。

iDeCoは確定拠出年金のため、将来のリターンは運用次第で変動しますが、運用期間中は非課税、しかも掛け金全額が税額控除されるため、減税分をさらに次の投資に充てることで福利効果により更なるリターンが見込めます。

個人型確定拠出年金iDeCoポータル

将来の物価上昇と投資をしないリスク

さらに、将来の物価上昇リスクを考えると投資をしないことのリスクも考えなければいけません。

現在日本は、年2%の物価上昇を目標としています。

政府の思いに反して、今のところインフレ方向には進んでいませんし、不景気続きでデフレに慣れてしまった私たちにはなかなか想像し難いのが現状です。

しかし、将来少しずつ物価が上昇すると、たとえ同じ100円でも、現在の100円の価値と比べ、将来の100円の価値はずっと低いものになっているかもしれません。

現に缶コーヒーなどは、昔100円で買えたものが120円に、そして現在は130円がスタンダードになりつつあります。

確定給付型の個人年金保険で保証されている年金額は、将来の物価動向いかんでは現在の価値を下回ってしまうリスクもあります。

その点、iDeCoの場合、投資商品を株式にすれば物価上昇に応じて株価も上昇するため、物価上昇のリスクもヘッジすることができるのです。

個人年金保険と投資の両立を

個人年金保険にのみ頼らぬよう、iDeCoに肩入れ気味の内容となってしまいましたが、iDeCoにも当然弱点はあります。

例えば、主婦(主夫)などの無職で所得のない方の場合、iDeCoを始めても元々所得がないため税金も発生しなませんから、減税効果の恩恵を受けることはありません。

仮に勤め人の夫が主婦である妻の分の掛け金を支払っていても、所得控除を受けられるのは本人の掛け金分のみ。妻の分を夫が支払っても残念ながら税金は戻ってきません。

一方、個人年金保険については、妻の分の保険料を夫が支払った場合、同一世帯の保険料を負担しているということで、夫の所得から所得控除を受けることができます。

また、iDeCoは掛け金の上限が雇用形態や企業年金の有無等で上限があるのに対し、個人年金保険は必要に応じて自分で自由に設定することができます。

正直なところ、将来への備えは多過ぎて困ることはありませんから、余裕があれば確定給付型の個人年金保険と確定拠出型のiDeCo、どちらも検討されると良いと思います。

高度経済成長期には高い利回りが保証され、年金受給者を支えてた個人年金保険ですが、公助から自助へという流れや投資環境の整備など、今は環境も大きく変化しつつあります。

現代を生きる私たちが、これから将来への備えを考える場合には、個人年金保険に限らず、iDeCoやNISAなどを使った投資も視野に入れ、総合的かつ複合的に準備する時代になったことを理解し、慎重に検討してみてください。

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