生命保険の見直しをしなければいけない本当の理由

考えようによっては見直し時期を知らせてくれる定期型保険

生命保険には一生涯保険料が変わらない終身型と、一定期間経つと保険料が変わる定期型の生命保険があります。

「10年後経ったら保険料が大幅に上がってしまった」などと言った体験談を聞き、今では一生涯保険料が変わらない終身型の生命保険を希望される人が大半です。

長期で加入する(予定の)生命保険ですから、安い保険料で一生涯変わらない安心できる生命保険に入りたいとは誰もが思う切実な思い。

しかし、考えようによっては定期型もそう悪くはありません。なぜなら、更新のタイミングで嫌が応にも補償内容を見直す良いきっかけになるのですから。

生命保険は資産でもなければ権利でもない、ただの「費用」

「冗談じゃない!一生涯安心できると思って入った生命保険を、また1から苦労して入り直すなんて真っぴら御免だ!」という方もいるでしょう。

確かに生命保険に加入していることで得られる安心感は、生命保険が持つ存在意義の1つの側面でもあり、安心感を保険料を支払うことで得ること自体否定はしません。

しかし、本来必要な補償は時間と共に刻々と変化をします。それは、皆さんご自身の変化も当然のことながら、周りの環境によっても変わっていくのです。

それなのに、「一生安心」という魔法の言葉によって思考を停止させてしまうばかりか、中には加入している生命保険それ自体を、まるで自分の資産の一部でもあるかのように考え、固執してしまう人もいます。

生命保険には「資産」的価値もなければ、行使できる「権利」でもありません。不幸にして病気やケガにならない限り保険料は掛け捨てとなるただの「費用」なのです。

貴方が一生涯大切に生命保険に加入続けようとしているなら、一体どこにその必要があるのでしょうか。

終身型でも保険を見直さなければいけない時がある

終身型に加入していても生命保険を見直す機会は時としてやってきます。1つはライフプランに変化が生じた時です。

結婚や出産、マイホームの購入や定年退職など、貴方が必要とする補償内容に変化が生じた時は、自らその必要性を感じ、率先して行動に移すので問題はありません。

問題は、このようなライフプランの変化以外で保険を見直さなければならないもう1つのケースの場合です。それは、医療保険制度の改正や変更によるものです。

一昔前に加入した生命保険の多くは、入院をすることで初めて必要な補償が受けられるようなものが大半でした。

それが現在の生命保険はどうでしょう。その補償内容や給付要件を見てみると、必ずしも入院は必要とせず、通院だけでも保険金が下りるようになるなど、その内容も大きく変わりつつあります。

それは、医療保険制度が大きく変化していることを意味します。

超高齢化社会の日本において、医療費の増大が国費を圧迫しており、政府は膨らみ続ける医療費を何とか抑制しようと、長期入院の診療報酬の見直しを実施するなど、定期的に制度改定を行っています。

また、医療の進歩も見逃せません。

現在はガンであっても必ずしも入院を必要としないものも増え、通院だけで治療のできる時代となりました。

入院をしないでも治療ができるケースが増えているということは、一方で生命保険の補償を受けたくても、入院させてもらえなければ補償も受けられないことを意味します。

このように、現在加入している生命保険の中にも、現代においては時代に適さないものも多く存在しているのです。

現代に適さない生命保険は含み損を抱えた塩漬け株と同じ

聡明な貴方が「将来のために」と若いうちから加入した終身型の生命保険ですが、それを「せっかく保険料が安い時に入ったのだから」とか、「一生涯加入し続けるつもりだった」などと、終身型であるがゆえに変に固執してしまうと、いざという時に1円も受け取れない事態も発生しかねません。

また、物価が上昇すれば、本来生命保険でまかなう予定だった必要補償額が足りないケースも出てきます。もしアベノミクスが思った通りに進行し、年2%ずつ上昇を続けたら、10年後の受け取るはずの100万円は、現在価値にしてたった82万円にしかなりません。

このように時代に適さない生命保険を見直さず加入し続けることは、含み損を抱えているのに損切りのできない塩漬け株を保有し続けていることと何ら変わりません。

そもそも生命保険に加入した理由は何だったのか、もう一度確認してみましょう。

生命保険は、万一の事態が発生した際に、自助努力では補いきれない部分をカバーするために加入したはずではなかったでしょうか。

医療の進歩や人口構造の変化など、医療保険制度は時代と共に年々変化していくもの。

終身型の生命保険は保険料が安くて何かと安心ですが、一方で加入者を思考停止に陥らせ、時代遅れの生命保険料を払い続けさせるリスクを内包していることもきちんと理解しておきましょう。

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