世界でも類を見ない日本のがん保険信仰
日本では毎日、生命保険に関するテレビCMが放送され、中でも「がん保険」は、日本人にとってとても馴染み深い生命保険の1つです。
そのためか、日本人のがん保険加入者数は他国に比べ吐出して高く、日本では医療保険とは別にがん保険というジャンルが確立されているほど。
しかし、日本では当たり前のように存在するがん保険も、実は欧米ではがんという1つに疾病に対して限定的に補償する保険はほとんど存在しません。
日本でがん保険がこれほど普及したのは、やはりテレビCMの影響によるところが大きいのでしょう。
「日本人の死因第3位」「生涯2人に1人はがんになる」など、がんに対する不安が常に私たちをがん保険の加入へと駆り立てます。
確かに、がん治療には時間もお金もかかりますし、がんになってしまったら治療に専念したいもの。しかし、がん保険の加入者はがんになった時のリスク以上にやたらと手厚い(その分高額な)がん保険に加入するケースが多く見られます。
その理由の多くは、がんになるリスクに対してではなく、がんに対する恐怖心に対して保険を掛けているからではないでしょうか。
そもそも保険は、起こる可能性は低いが、起こった時に大きな経済的損害を被る場合に、皆で少しずつお金を出し合って備えるもの。
しかし、誰もががんになった時のことなど考えたくもありませんから、ろくにがんにり患する可能性や実際にかかる医療費などのリスクについて詳しく調べず、生命保険会社の言われる話を鵜呑みにしてしまいます。
そして、さもがん保険にさえ入れば、まるでがんから守られているかのような錯覚と安心感を覚え、がん保険に加入することで満足してしまいます。
がんへの備え、本当にがん保険で用意しなければいけないの?
日本人ががん保険を好む理由は、がんに対する不安要素である身体的ケア・精神的ケア・経済的ケアのすべてをオールマイティに包括してくれているからでしょう。
しかし、がん保険には多分に加入者のリスクを煽り、安心料を上乗せている実態があります。
そこでまず、がん保険の特徴的な給付内容について見ていきましょう。がん保険の給付内容は大きく分けて3つあります。
1つ目は診断一時金です。がんと診断された場合、当面の対策費用として一括でまとまった額の一時金を受け取ることができます。こちらは医療保険にはない給付です。
2つ目は入院給付金です。入院1日辺り1万円、という形で入院期間に合わせて保険金が支払われ、また入院前後の通院にも対応しているものも存在します。医療保険と違い、1回の入院期間が無制限な点も、がん保険の特徴です。
3つ目は高度先進医療一時金です。まだ保険診療として認可されていない自由診療扱いの治療を受ける際に、高度先進医療一時金として1,000万円までの給付を受けることができます。
このように、一般的な医療保険とは多少異なるがん保険ですが、果たしてわざわざがん保険に入る必要はあるでしょうか。一般的な医療保険では足りないのでしょうか。
がんに対する恐怖心や先入観、固定概念が払拭できれば、がん保険に対する貴方の見方も変わってくるでしょう。
これから順を追って、がん治療とがん保険の実態について見ていきたいと思います。