新入社員のうちは医療保険に入るべからず

新社会人を待ちわびる保険外交員

入社式を迎えて晴れて配属されると、待っているのは上司や先輩社員だけではありません。

企業に出入りしている保険の外交員(セールスレディ)による保険のセールス(勧誘)が待っています。

会社の入り口や食堂、オフィスのフロアにまで入り込んで勧誘するケースもあり、その会社と外交員の親密であればあるほど、皆さんの職場に深く入り込んでいます。

それだけ社員にとっても身近な存在であり、保険の加入者にとっては様々な相談が気軽にできる点でメリットも多いですが、新入社員のうちは保険会社にとって良いカモです

「社会人になるとケガや病気になりやすい」「両親に心配かけないためにも、保険の加入は社会人としての義務」など、あの手この手のセールストークと押しの強さで保険の加入を勧めてきます。

社会人になったばかりの皆さんはリスクも低く保険料も安いので、なけなしの給与からでも支払えないことはありませんから、つい勧められるままに保険を契約してしまいがち。

しかし、一度加入するとその安心から解約し難くなるのが保険でして、顔見知りの外交員から買った保険ならなおさら。

もし解約をしたいと伝えると、外交員はチャンスとばかり別の保険商品を勧め、減る保険料分を他の保険に再加入させることでカバーしようとします。

実は、外交員にとって新規契約の方が営業の点数が高いため、保険加入者からの解約の申し出は新たに別の保険に加入させる絶好のチャンスなのです。

保険加入よりもやらなければいけないことがある

さて、新入社員になったら保険の加入よりもまず、最初にやっておかなければいけないことがあります。それは貯金です。

「そんなこと言われなくてもわかっている」「貯金なんていつでもできる」などと思いがちですが、社会人になると学生の頃と比べて出費は大幅に増えます。

学生時代のままの金銭感覚でいると、最初はアルバイト代と大差のない給与ですから、どんどんと出費がかさみ、手許に残るお金はごくわずか。

貯金は、強制的に天引きをしていくようあらかじめ設定しておかないとなかなか貯まってはいきません。

給与天引きで積み立てができる財形貯蓄や、口座から直接振り替えてくれる定期預金などを使い、しっかりと貯金をしましょう。保険の加入を検討するのはそのあとです。

保険の加入の検討が後回しでいい理由

保険のパンフレットを見ていると、段々と保険に加入しないでいることが不安になってきます。保険にさえ入れば、まるで病気やけがにならないような錯覚さえ覚えます。

しかし、保険の加入については、少なくとも1年は様子を見るべきです。なぜならば、社会人になったことで抱えるリスクや、本当に必要な保障が自分で見えていないからです。

「1年も見送っている間に病気やけがになってしまうのでは」と不安になるかもしれません。

しかし、病気やけがになったところで、皆さんはすでに強制的に社会保険に加入しており、国の制度が皆さんを守ってくれています。

健康保険の「高額療養費」制度を知ろう

例えば、皆さんが企業に勤めると、会社を通じて健康保険組合に加入することになります。

健康保険証があれば、医療費が3割の自己負担で済むことは広く知られていますが、それとは別に高額療養費制度という制度があります。

万一病気やけがで入院し、多額の医療費が掛かっても、この制度のおかげで皆さんの1ヶ月の医療費負担額は、9万円程度で頭打ちになることはあまり知られていません。

例えば、1ヶ月間に100万円の医療費が掛かり、自己負担が3割ならば本来30万円を支払わなければなりませんが、高額療養費制度によって9万円程度の負担で済むことになるのです。

広告の自己負担額は実は高額療養費適用前

民間の医療保険のパンフレットには、病気やけがで入院をした際の医療費の平均的な自己負担額が記載されていますが、これには高額療養費制度適用前の金額であることに注意しなければなりません。

パンフレットの片隅に小さく、高額療養費制度適用前の金額である旨の注記が小さな字で印字されていて正直分かり難く、パンフレットを見た人は、1度入院をすると多額の自己負担をしなければいけないと勘違いしやすいのです。

60日を超える長期入院はまれ、差額ベッド代も気にしなくていい

また、1回の入院でも60日を超えるような長期の入院もまれです。

つまり長くても2ヶ月で退院しているケースがほとんど。差額ベッド代についても自ら個室を要求することがない限り掛かりませんから、20万円程度あればとりあえず事足ります。

初任給がいくら安くても3~4ヶ月頑張ればすぐに貯金できる金額です。

業務に起因するケガや病気なら、自己負担額はゼロ

また、仕事中や通勤中など、仕事に起因して発生した病気やけがは、企業が労働災害補償保険(労災保険)に加入しており(労働者は保険料を負担していません)、治療に掛かる費用の全額を労災保険がカバーしてくれます。

社会人になると病気やけがが増えると言われますが、業務上災害についてはそもそも保険の加入を検討から外してしまっていいのです。

1年後、新入社員を”卒業”した時にわかること

次の新入社員(後輩)が入ってくる1年後に、晴れて皆さんは一人前の社会人となります。

今は右も左もわからない状況でしょうが、1年経つと周りを見渡す余裕も生まれ、今後の自分の生活やそこに内在するリスクについても想像することができるはずです。

終身払いの医療保険の場合、加入が1年遅れることで数百円保険料が上がるかもしれませんが、その分毎月数千円の保険料を1年間払わなかったわけですから、大した問題ではありません。

そして、この1年でしっかり貯金もでき、また、健康保険や労災保険という公助の社会保険に守られていることを実感するはずです。

その時に初めて、保険に入るべきか、入るならば保障内容をどうするか、自らの判断で決定すべきなのです。

外交員に勧められるがまま、人に任せて保険を決めてしまうと、今後延々と保険や外交員と付き合い続けなければなりません。

仮に終身医療保険の場合、月額3千円程度を一生涯支払い続けます。

終身医療保険は、安い保険料のままずっと変わらないことで人気ですが、終身払い続けると合計で200万円近く払い続けることになります(22歳から80歳まで払い続けた場合)。これは車1台が買えてしまう金額です。

あなたは必要かどうかも分からない車を、実物を見ることも、試乗することもなく、セールスマンに勧められるままに購入するでしょうか。保険も答えは同じはずです。

保険とは自分のリスクを自覚してはじめて、加入するかどうかを決めるもの。自分のリスクがなにかも明確になっていない新入社員のうちから保険を決めるべきではないのです。

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